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2023年 年頭所感

2023.01.03

 2023年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年はロシアのウクライナへの侵攻戦争をはじめ、世界的なインフレの加速、ウィズコロナに対する行動変容の模索など、世界的にも様々な環境変化が起きた一年でした。今後、台湾有事への備え、日銀総裁の任期満了による金融緩和政策の見直し、また岸田政権の先行きなど、政治的、経済的にも環境変化が見込まれる1年となりそうです。

 日本のインフレは欧米諸国と比較すると数値的に低いものの、デフレ経済に慣れきった社会にとって、今回のインフレは突然の大きな変化です。そんな中、今年こそ賃金上昇が起こるのでしょうか。

 平成の30数年間、人件費を抑制した結果、企業は多額の内部留保を蓄積しました。その内部留保にメスを入れられるならば、社会全体にとってプラスであり歓迎したいです。停滞している日本経済の活性化には賃金上昇が必要なことは明らかです。

 ただ、賃金上昇を伴う適度なインフレは経済回復に好ましいですが、不動産市場においては、価格上昇が鈍化する可能性もあります。資金調達コストの上昇が見込まれることから、一定の価格調整が発生する可能性はあるものの、総じて緩やかな上昇基調が続くと見ています。

 インフレに関しては、個人的には楽観視しています。インフレの原因と言われている供給不足は今後次第に改善が見込まれること、日銀の物価に対する方針転換がない限り、人々のインフレ予想も2%程度に収斂すると考えています。

 今年は日銀総裁が交代します。今後の金融政策の方向性は不動産・住宅業界に大きな影響を与えます。特に短期金利の変動は注意が必要です。昨年末に日銀が10年債の上限金利を0.25%から0.5%に引き上げたことはサプライズでしたが、これからも金利上昇圧力が強まる可能性があります。実質賃金が継続的に社会全体で上昇することが確認された上で、適切な政策判断を期待したいです。